2012年12月11日火曜日

修理するにはワケがある。


11月下旬頃、あるご夫婦のお客様が御来店されました。
しばらく店内をご覧になっていたのですが、あるカバンを手に取られ、
旦那様とお話をされていました。

そのカバンは前の記事で取り上げたタンカーのショルダーバックです。
ふと奥様のお持ちになっているカバンを見るとご覧になっているものと同じカバンでした。

やはり慣れたカバンが一番使いやすいということで、
同じものをもう一度お買い上げくださるお客様も多くいらっしゃいます。
その奥様もそろそろ新調されるのかな・・・・と思ったのですが、
仰られたのは予想外の言葉でした。

奥様はきっぱりと「修理お願いします。」と仰られたのです。

奥様20年程前、東京に住んでおられた時にそのバッグを購入されたそうで、
その後ご結婚され金沢へと来られ、その間いつもそばにそばに
そのタンカーのバックがあったと仰っておられました。

同じデザインの新しいものを買おうかどうしようか・・・
と悩みつつ御来店されたのですが、実際に見てみると御自身がお持ちになっているカバンとは
別物のように感じたそうです。

壊れたものを修理、修繕して再び使うことは誰しもが行うことだと思います。
祖母や母から受け継いだ着物を自分用に仕立て直す、
愛車を修理に出すなど、皆さんも色々なものを修理してまたお使いになっていることと思います。

新調するのではなく修理される理由は大きくわけて2つ、
1つは着物や骨董・希少価値の付いたもののように他に代わりのものがないもの、
もう1つはクルマのように簡単に買い換えることの難しいものだと思います。

当店でお受けしているカバンの修理もファスナーや糸のほつれなど簡単なものであれば
新しく同じ商品をご購入いただくよりずっと低価格で済ませることができます。

        しかしこの奥様のタンカーの場合、20年使われていたということもあり、
修理箇所が多く、もしかすると新しくお買い求めいただいたほうが安く済むかも・・
という状態でしたので、その様に説明させていただきました。

旦那様も「良い機会だし買い換えれば?」と仰ったのですが、
奥様はやはり修理されることを選ばれました。

目の前にある新品は、例え同じ機能を満たすものであっても、
奥様にとっては全く別物なのだなとその時感じました。

20年の年月を過ごすうちにだんだんと奥様にとって他に代わりのない、
かけがえのないものになっていったのではないでしょうか。

 

とても心に残ったエピソードでしたので、ここで紹介させていただきました。
新しいカバンを買ったときの浮き足立つような気持ちも好きですが、
愛着のあるカバンを修理して共に過ごしていくのも良いなと感じた出来事でした。

当店では吉田かばん、その他取扱いブランドの修理をうけたまわっております。
只今、全国からの修理需要がメーカーに相次いでおり、修理内容によりましては、
完了まで二・三ヶ月お待ち頂く場合もございます。

お見積り後、修理をスタートさせていただくことも可能でございます。

お気軽にお持ちください。

みなさまのご来店を心よりお待ちしております。

COOLCAT 谷井